整体を広く手技療法と捉えた場合、その種類は公表されているものだけで150以上あるそうです。

それだけの種類があるということは、施術の仕方もほぼ150はあることになります。
道具を使うもの、徒手のみで行うものと、療法によってやり方は様々ですが、どれが間違っていてどれが正しいというものではありません。

それぞれが違う理念を持って違う角度からアプローチをしているだけで、目的としてはほぼ同じと行っていいでしょう。
その目的とは、『体の持っている自然治癒力を回復させ、あるいは高めることで、体本来の機能を取り戻す』
ということです。
表現が多少変わったとしても、どこの療法もほぼ目的はこういうことです。

実は、この考え方は現代の医学もあまり変わらないものだと思います。
切ったり、縫ったり、投薬したりといろいろな治療法が生み出されますが、目的は体の機能を回復させることにつきます。

その意味では、むしろ悪いものを取り去ってしまうという手段を取る現代医学のほうが乱暴といえば言えるかもしれません。
無論生命を救えるか救えないかの瀬戸際で治療されている方には、多少の機能よりも生きることの方が大事であることはもちろんですから、その乱暴さも必要なものでしょう。

それでも徒手療法としては物理的に切り取るという方法はありえないので、本来の自然治癒力を回復させて、機能を本来の状態にするということに絞って考えてみましょう。

自然治癒力を回復させるとはどういうことでしょうか?

体の中で起こっているいろいろなバランスの乱れを整えて行く事です。
体の中では、日々の生活の中でストレス、悪い姿勢、動作、食生活などの生活習慣から、体をコントロールする上で必要な幾つものバランスを乱れさせています。
ホルモン分泌、自律神経、内臓機能、そして、筋肉や骨格もバランスを失ってしまいます。

バランスを失った体は、いくつもの強弱を作り出します。
・〇〇ホルモンの過剰分泌や、☓☓ホルモンの分泌不足
・交感神経の過剰優位と副交感神経の劣位
・内蔵の実(盛んに機能しているか)、虚(弱っているか)
・上下左右前後全方向で支えあっている筋肉の力のアンバランス

これらのバランスが乱れてしまえば、体に均一にかかるはずの荷重が不均衡にかかってしまい、くまなく循環するはずの体液(血液、リンパなど)に流れの悪いところが出てきてしまいます。
そして、体液の循環こそが、体の成長、維持を守る要なのです。

あなたが毎日食べたり飲んだりした物が栄養素に分解され、血液によって体の各部に送られることで、体は成長、維持を続けることができるのです。
だから、栄養のアンバランスももちろんですが、これらの栄養が隅々まで届かなければ体のバランスはいよいよ乱れてしまうのです。

このバランスの乱れを整えて、体が正常に機能するのが整体の目的であることは前述したとおりですが、このあたりから療法ごとの違いが出てきます。
療法により、アプローチの手順が、筋肉骨格から、内臓から、クラニアル(頭蓋骨)から、等多岐に渡ります。

これに関しても、どれが正しくてどれが間違っているとは言えません。
なぜなら、各々の療法ごとに独自の理論をもとに長年施術を続けて、多大な実績を積んできているからです。

ただ、これまでいくつかの療法を学び、施術を積んできた中で、少なくとも現代から今後の施術において一番考えなければいけないと思うのは、患者さんに与える刺激の強さの加減です。
当院での施術のほとんどは、触れる程度の弱い刺激であり、中には触れられているのもわからないほどの刺激もあったりします。
その程度の刺激でも体は十分変化しますし、むしろ弱い刺激だからこそ変化します。

なぜでしょうか?

一言でいうと、『生きた人間を相手にしているから』です。

あなたが知っている人間の骨は、標本で見るような固くて叩くとすぐに折れたり砕けたりするようなものではないでしょうか。
あなたが知っている肉といえば、叩くとどんどん平べったく伸びてしまうような死んだ動物の肉ではないでしょうか。

実際の生きた体は、骨も柔らかくしなり、肉は叩かれればかえって反発してくるものなんです。
生きた体には、生命維持機能が備わっており、無意識に防御反応が働き、ただ押したり叩いたりしても形を変えてくれません。
むしろ、働きかけた逆の反応を起こしてしまいます。

つまり、生きた体には『どのような刺激を与えるか』が、とても重要であり、効果を生む上での最大のカギとなるのです。