肩や腰、手足などに痛みや違和感が出て来た場合、ひたすら我慢をする人を除けば今は一番最初に整形外科に行くのが普通です。

整形外科に行くと、ほとんどのケースでまずレントゲンを撮ってくれます。
そしてレントゲン写真を見て診断をしてくれます。
もちろん触診をしてくれる先生もいらっしゃいますが、最近は触診をしないこともあるらしいです。

当院でも整形外科で見てもらい、レントゲンには異常がないのに痛みやしびれが消えないと訴える方が来院されます。

なぜレントゲンで異常がないのに痛みがあるのか。
今までの経験から推測している理由を簡単に説明します。

※これは当院の臨床経験からの見解で、科学的に証明されているとは言えません。
また、すべてのケースが当てはまるわけではありません。

正しい関節の状態

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上の図のように、わかりやすく関節を簡略化して書いた場合、横から見ると骨と骨は直接くっついてはおらず、動きやすいように柔らかい組織に囲まれています。

関節が動く時には、この柔らかい部分を利用して滑りながら動きます。
正常な関節は、図の右のように縦に見た場合骨と骨をつなぐ部分には、わずかですが上下左右、右回り左回りと、自動車のハンドルのような遊びがあります。

遊びは、関節を固定していても動く範囲です。
関節によって遊びの大きさは違ってきますが、必ずあります。
この遊びがあることで、関節は正常な動きができます。

関節の状態が悪化する仕組み

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関節に一定方向からのアンバランスな力(たとえば悪い姿勢、仕事での特殊な動き、悪い生活習慣による疲労)が頻繁にかかってくると、その部分の血液の流れが滞り、骨よりも周辺の組織が傷ついていきます。

周辺組織が傷つくと、組織の伸縮性がなくなり、関節の遊びの一部(もしくは全部)が制限されてしまいます。

金属の蝶番に例えると、錆が付き始めて動きにくくなってきた状態です。

遊びの制限された関節は、いよいよ血流が滞ってしまい、回復のための酸素や栄養素が慢性的に不足して、組織の悪化が進んで傷はますます深くなっていきます。

金属の蝶番なら、錆びついて動かなくなった状態です。

当然傷が深くなればなるほど、体に感じる症状も重くなります。

動きにくくなってきた段階であれば、錆は取りやすく動きの回復も早いです。

しかし、錆びついて動かなくなった状態になると深い切り傷ができたようなものなので、無理に動かそうとすれば傷口が広がり、痛みも強くなり、かえって悪化します。

体の中ではこのようなプロセスで痛みを作り出しているのですが、これまで説明したような状態はレントゲンには写りません

問題は骨の状態にあるのでも、並び方にあるのでもないからです。
レントゲンに写らない軟部組織の問題であるし、その影響は動きに出るからです。

通常、整形外科ではこのような些細な動きについては調べていないと思います。
ですので、レントゲンでは異常がなく、それでも痛みがあるという状況が生まれてしまうのです。

もちろん、だからと言ってレントゲンを撮ることがムダであると言っているのではありません。
レントゲンには、肉眼で見えず触診でもわからないような、生命の維持に影響するような問題を発見できる素晴らしい役割があります。

ですから当院としても、できれば来院前に整形外科でレントゲンを撮っていただくことをお勧めいたします。